衛氏朝鮮 ①

 

衛氏朝鮮

中国の漢時代、燕に出自を持つ衛満という人物が箕子朝鮮へ亡命し、後に箕子朝鮮を滅ぼして、衛氏朝鮮を建国したという。

 

「史記」の「朝鮮列伝」に衛氏朝鮮について次のように書いてある。

朝鮮王満者故燕人也。自始全燕時、嘗略属真番朝鮮、為置吏、築郭塞。

秦滅燕、属遼東外徼。漢興為其遠難守、復修遼東故塞、至浿水為界、属

燕。

燕王盧綰反入匈奴。満亡命。聚黛千余人、魁結蛮夷服、而東走。出塞、

渡浿水、居秦故空地上下鄣。稍役属真番朝鮮 。蛮夷及故燕・斉亡命者王

之、都王険。

朝鮮王満はもと燕の人である。はじめ燕が全盛の時、真番朝鮮を攻略 して服属させ、役人を置き、塞を築いた。秦が燕を滅ぼしたとき、真番朝鮮の地は遼東の外徼に属された。

漢が興り、その地が遠く守り難いので遼東の故塞を修復し、浿水までを境界とし、燕に属させた。

燕王盧綰は漢に背き匈奴へ逃げた。衛満も亡命する。千余人を集め、髪を結い、蛮夷の服を着て東へ走った。塞を出て浿水を渡り、秦の故の空地である上下鄣に居す。しばらくして真番朝鮮、蛮夷および故燕・斉の亡命者等を支配 し、ここに王となり、王険に都す。

 

衛満は、漢高祖劉邦の親友であり、側近でもあった盧綰に従っていた。

盧綰は漢の朝廷より燕王に封じられていたが、劉邦に謀反を企てているとの疑いをかけられると、匈奴に亡命した。同時に、衛満も東方へ逃げたのである。

 

衛満が朝鮮に亡命した時、箕子朝鮮（「朝鮮列伝」には「真番朝鮮」と書いてある）を統治していたのは、41代目の準王である。

準王は亡命した衛満を受け入れ、朝鮮西武に燕・斉・趙の亡命者から成る集落を造ることを許した。衛満はその集落の指導者となり、徐々に勢力を拡大し、あげくに国を簒奪した。紀元前194年のことである。